top of page

メルヘンハウスHACO  (愛知県名古屋市)
期間限定店舗(2019年4月3日~4月15日)

整理して居場所をつくる

日本初の児童書専門書店として1973年にオープンし、2018年3月に惜しまれながら閉店したメルヘンハウス。名古屋市千種区の星が丘テラスにあるHACOというイベントスペースで期間限定復活を行うことになり、そのレイアウト及びインテリアを担当した。

 

親と子、本と子のコミュニケーションとして絵本があり、その中でもより良い絵本と出会ってほしいという理念から前店ではシュリンクや帯を外し、その場で絵本を読んで選んで買うことができた。今回のHACOでの限定店舗でも、その理念は継承するべきであると考えた。内部スペース3.4坪の中に35種類1000冊の新品絵本と数十冊の古本を販売する上で、子どもとのコミュニケーションをいかに作っていくかが重要であり、また内装に予算を使わず、HACOに用意されている什器とスタッフなどが持ち寄った小物などで空間作ることが課題となった。

 

什器をすべて使用すると限られたスペースの中で什器の占める割合が大きくなるため、新品絵本のサイズをすべて測り、その上で什器の本数と絵本のレイアウトを決めた。その什器を片側の壁面にすべて納め、動線とフリーに使用することができる最低限のスペースを確保した。多くの出展者がアイキャッチに使っていた外部カウンターを中からつながる床として活用し、そこで絵本を読んだり、読み聞かせなどができるように活用した。そのスペースは外を歩いている人に内部の様子や絵本を読んでいる様子を滲ませ、さらに3.4坪の床面積が外側へ拡張し、店内の広がりにも寄与している。

また新品絵本が納品された際に使用されていた木箱はベンチや外部販売用什器に転用させ、少ない手数で様々な形の子と本との関わりを持たせることができた。

 

今現在メルヘンハウスは実店舗再開に向けて始動している。その中での期間限定店舗という位置づけであり、そこに店舗の大きさや予算の有無は関係ない。大切なのは絵本を介したコミュニケーションをつくる書店であることを示すことであり、今後店舗としてどういった方針で再開を目指すかを示すことである。「親と子、子と本とのコミュニケーション」それが3.4坪の小さな書店でも利用してくださった方に伝わっていることを願っている。

用途 : 児童書専門店

延床面積 : 11.25m2(3.4坪)

写真 : border design architects

bottom of page