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​向の家

house / project

向の家

道と路の角地

前面道路は瀬戸街道が通っており、そこからもう少し南へ行けば旧瀬戸街道が現存している。旧瀬戸街道はかつて江戸時代中頃までは、「せともの」などを運ぶ交易道路としての役割があった。敷地西側は今回のクライアントの事務所兼住居の賃貸長屋があり、家が建った後もそのまま継続して契約する予定である。西側の賃貸長屋と今回の敷地境界線までは2m程度の空地がある。敷地北側にはこれもクライアントが使用している駐車場があり、駐車場から長屋へのアプローチの利便性からつくられた私的な通路として活用されている。今回の敷地は、歴史的な街道と私的な通路が交錯する場所に隣接している。​そこで道というテーマを基に、昔の井戸端会議的な道の一面を私的ながら再考したいと考えた。この住宅のコミュニケーションの中心には庭がある。寝室、廊下、LDK、吹抜を介した子供室、全て庭を見ることができる。その庭を介して視線があったり、声をかけたり、庭から様々なコミュニケーションが展開される。その庭のその先に前述した私的な通路が存在する。庭と私的な通路に引き戸を取り付け、開けば庭が拡張し、そこでさまざまな家族間での、時には隣地間でのコミュニケーションが生まれ、閉じれば導線を持った道としての性格に戻る。かつて道は一日の多くの時間を使って過ごす生活の場であった。いつしか建物が豊かになるにつれて、目的地に行くためだけの動線になってしまった。今回は、あくまでも私的な道ではあるが、外へと開いてくことで、生活の場だった道という存在を現代に合わせて取り戻せるのではないかと考えた。

完成予定:2023年

所在:愛知県尾張旭市

用途:戸建住宅

構造:木造2階建て

建築面積:95.65㎡

延床面積:116.03㎡

写真:border design archietcts

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