家の価値とは様々あると思います。市場的な価値を思い浮かべる人も多いかと思いますが、僕らのような設計事務所を運営している人間としては、住む上での価値も大切であると思います。ということで今回は僕らが思う住む上での家の価値にフォーカスしてさらに深堀できればと思います。
目次
わかりやすい家の価値
建売住宅の広告を見ると、断熱等級や耐震等級などの性能面、部屋数や床面積などの広さに関することが多く書かれています。ハウスメーカーや工務店のHPでも同様のことが書かれていることが多いのではないでしょうか。どれも住むにとって非常に大切なことであることは言うまでもありませんが、住宅の価値が等級や数字に置き換わる部分だけと思われていないでしょうか?
わかりづらい家の価値
① 光
建築基準法に採光に必要な窓の面積を満たすことという記述があります。それを満たしていないと居室(LDKや寝室など)に該当しないということなのですが、それを満たしているから明るいというわけではありません。特に居室自体が外部に面していないと、いくら非居室を介して明るい状況になっていても法律上は「人が継続的に滞在してはいけない暗い部屋」となります。また壁にぶつかって照らす反射光などももちろん考慮されません。僕らの設計では建築基準法の採光面積を満たしながら、状況に応じて窓から入る明るさを調整し、ご要望に沿った開口部を検討します。隣地の状況にもよりますが、高さを使いながら光を取り入れれば暗い部屋にはなりません。
② 風
光同様に換気に関しても必要面積を満たす必要があります。基本的にいくら大きな窓を設けても抜ける窓がなければ風は入ってきません。そのため各居室は基本風を入れる窓と風を抜く窓の2か所以上を設けるようにしています。2か所が難しい場合でもプライバシー性を大きく阻害しない範囲で、2室使って換気できる計画が大切です。さらに吹き抜け等を設けた場合は重力換気等、季節に応じて開ける窓を変えるなどの対策をすることも可能です。
③ コミュニケーション
個室が快適になりすぎて、お子様が部屋から出てこない。折角家を建てても家族がバラバラに各々の時間を過ごすのは少し寂しい気がします。もちろん否定はしませんが、そうならないように家を設計する段階で閉じこもりすぎないようにすることはできます。
① 個室に行くのに必ずリビングを通る
② 個室に開口を設ける
③ 個室を小さくする
④ それぞれコーナー化し、寝る場所と勉強する場所を分ける
⑤ そもそも個室を設けない
などなど、色々対策はあると思います。こっらの中でも今ここでこれがベストですとは言えません。なぜならそれぞれご家族によって考え方が違うからです。今ここに例を挙げたもの以外の解決方法もきっとあると思います。例えば受験勉強などに集中できる静かな部屋が欲しいと思う時があるとします。しかしその部屋は数年後にその本来必要だった役目を終えます。そのためにその後数十年住む家の一部として面積を割いていいかということも考えないといけないと思います。勉強部屋として必要だったとしても最低限の面積にするなど各々の家族にあった方法で家づくりができると、きっと住みやすいく毎日楽しく、長く住むことができる家になると思います。
まとめ
家の価値は人それぞれ違うと思います。家という大きなお金を出すものだと、大きな声に流されやすいこともあると思います。そんな中でも家族とのありかた、光や風など広告にしづらいものこそが家の価値であると僕らは思います。そこを実現するお手伝いができれば嬉しいなと思います。
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