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家の中に作る箱③

白いキューブ

【マンションリノベーションで考えた家の中に作る箱】

ROOM407は、よく見かける南にリビング、北に個室、その中間に玄関と廊下、水廻りといったプラン上での環境格差を持ったマンション住宅からの脱却を図ったマンションリノベーションの事例です。


壁の中に扉が収納されている

【専有部は敷地】

戸建て住宅が敷地の上に建つように、マンションリノベーションは専有部そのものが敷地であると考えています。どこにどういった用途の部屋を配置するかはとても重要になります。この住宅は玄関と水廻りを南北を分断しないように端に寄せた上で一つの白いキューブにまとめ、「家の中に作る箱」として位置づけられています。そこに隣接する居室は、「家の中の外」と考えて設計しました。この家は、可変的なワンルームとして構築されており、パブリックエリアとプライベートエリアは建具の仕切り方によって自在に変化します。大川の家と違い、この家の特徴は、どのように仕切っても「家の中の外」と接する壁が玄関や水廻りの入った白いキューブであることにあります。この白いキューブは、他の壁よりも明度の高い白を採用しており、居室は白いキューブの反射光により明るい状況を体感することができます。


北側の居室

【通り部屋という空洞】

ROOM407の根幹を成すのは、床がフローリング仕上げになっている「通り部屋」という用途がない部屋です。この部屋は通常のマンションでは分断される南北の窓に対して貫通して存在し、住宅内の環境を作り出す京町やの「通り庭」のような存在です。その存在が環境を作る装置であるとするなら、白いキューブは作り出した環境を強調するような存在です。華美な装飾をせず、感情を持った仕上げにしないことで何もない通り部屋の意味が強調されると考えています。また用途のない通り部屋には2枚の引き込み戸があり、閉めたり開けたりすることで様々な状況に対応できる柔軟性も持っています。


光を透過する扉

【まとめ】

ROOM407は、通り部屋という装置とその効果を強調する白いキューブによってデザインされた、新しいカタチのワンルームです。その考えは、決して奇をてらったデザインではなく、機能と快適さを両立させるために考えました。ROOM407にとっての家の中の外と中。それは南北の環境差をなくすために考えられ、暮らしに豊かさと深み、楽しさと気軽さをもたらすものだと考えています。


白いキューブに接する家の中の外

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