家づくりってどうやって進めていくるのかわからなくて不安!!
本当に理想のおうちづくりってできるの?
設計事務所との家づくりって敷居が高そう・・・
というお声をよく聞くので一度皆様とのやり取りの流れや、実際に僕がどのような流れで設計を行っているのかまとめてみようと思いました!
前回は〈ヒアリング~プレゼン前まで〉の流れをご説明しました!
第2回目の今回は〈プレゼン~設計契約まで〉の内容と流れを説明をします。
このブログでは「border design architects」との家づくりの進め方をご理解いただくために、各題名末尾に、皆様に直接関わる部分はクライアントの〈ク〉、僕が関わる部分は鳥居の〈鳥〉と表記いたします。
目次
border design architects の家づくりの進め方〈プレゼン~設計契約まで〉
①プレゼンのための資料作り〈鳥〉
前回で計画図までは書き終わりました。
そこからプレゼンまでに何を行っているのかお話していきたいと思います。
まず前提として建築関係のお仕事をされていない方は図面というものを見慣れていないと思います。
その状態で図面をお見せして
鳥「どうです?いいお家でしょ?ニヤ」
といったところで
ク「い、いいですね💦(どのへんがですか?)」
となることでしょう。こんな悲しい関係になってはいけないと思い、僕らは設計した家を適切に判断してもらえるように、プレゼン時には下記のものをお持ちしています。
ⅰ:プレゼンブック(見開きA4程度)
ⅱ:仕上げのついた模型
ⅲ:A3図面
ⅰ:プレゼンブック
いきなり図面だけが出てきても、
どうしてその家になったのか
どうしてその家が私たちにとって一番いいと思ったのか
の説明がないと、しっくりこないことが多いのではないかと思います。
仮に口頭で説明されてもすべてを覚えているのは難しいと思います。
「ああ言ってた。」「いやこう言ってた。」とご夫婦で言い合いになってもいけません。
家の成り立ちを理解しないまま家づくりを進めると、深い部分での愛着を持てないような気がしています。
夫婦喧嘩を阻止するために僕らはプレゼンブックという冊子を持っていきます。
それはそれぞれの物件に対して製作しており、完全オリジナルです。
内容としては
・要望、周辺環境、法規など諸条件の整理
・敷地のポジティブネガティブな要素の抽出
・その土地の歴史(文献等があれば)
・敷地配置の考え方
・間取りの考え方
・部屋通しのつながりの意図
・設計したもの
などなどとなっています。
毎回条件も違うので必ずこれらが書かれているとは限りませんが、どのプレゼンであっても家の成り立ちや家の良さがわかるようにまとめています。
この冊子があることでより家に対する理解が深まり、共感できるところは原案のままに、変更したいところは明確になるのではないかと考えています。
どちらにせよ、長い間かけて住む家のことを深く考えることが大事で、なにより「自分たち(と鳥居)の考えた最強の家」という愛着を持ってくれると思っています。
ⅱ:仕上げのついた模型
模型の優秀なところは立体であることです。手に持って回転させたり傾けたり、遠くから見たり、覗いてみたり。そういったものが本能的に行うことができ、各部屋のつながりなど多角的な理解を容易に行うことができます。すべての部屋が見えるわけではないですが、家の特徴になる部分に関しては壁や天井を取り外せるようにして様々な角度で覗けるような工夫を施しています。
また仕上げをほどこすことで、背景的意味合いの壁、主張させたい壁、床の貼りわけの意図、天井のイメージをその時点で提示することができます。これらは部屋の見え方や拡がり方にも直結するのでできる限りわかりやすく表現を行っています。パースではなく模型なのは、個々は抽象的でありながら、空間としての質を見てもらいたい、仕上げなどの選定に余白を持たせたい、と思っているからです。
(パースと模型の違いについては→リンクで記事を上げておりますのでご参照ください)
ⅲ:A3図面
基本的にはⅰとⅱで理解することはできますが、その場で変更を検討するためのメモや、より縮尺の大きな図面で確認できる、といったⅰとⅱにはない要素もありますのでお持ちしております。
以上が、僕らが普段プレゼンで作っている資料です。
これらをお見せすると、どういった家ができるのか理解できないという方は今までおらず、多くの方が喜んでくださいます。
これら資料を作成するのにだいたい1週間~2週間程度かかります。
そのため最初の1か月で諸条件の整理、様々な検討、家の設計を行い、残りの2週間でプレゼン資料をまとめる。というプレゼンまでの僕らのスケジュールになっています。
(サボってないのをご理解いただけたら嬉しい)
②いざプレゼン/基本設計〈ク/鳥〉
さあ資料作りも終わり、いざ楽しみなプレゼンになります。
家の方向性を決定する大事なイベントです。
プレゼンされる皆様は
「ワクワク!!」といったポジティブな感情や
「どういったものが出てくるんだろう・・・」という不安な気持ちがあると思います。
それと同じように僕らもだいぶ緊張しています。
前夜までは
「こんなにいい家ができたから絶対喜んでくれる!!」と気合と期待を持ってますが、朝起きると
「とはいえ、喜んでくれなかったどうしよう・・・」
「あの要望の解釈はこれであってただろうか・・・?」
「いきなり模型ハンマーで叩き壊されたらどうしよう・・・」というネガティブな感情が顔を覗かせるから不思議なものです。
プレゼンでは
(その都度プレゼンのボリュームや内容も変わるので詳しくは書きませんが)
・プレゼンブックを見ながら説明
・出番が来たら模型をお見せする
・図面とともに説明を深めていく
・質問やわからないところは途中でも聞いてもらう
という形で行っています。
プレゼンでは真面目一辺倒というわけではなく、多少の雑談も話しながら、案を見た上でのさらなる具体的な要望のヒントにしながら進めています。
プレゼンが終わって感想を聞き、資料すべてをお預けし、大体1~2週間ほどかけてその住宅の案を精査してもらい、お返事をもらうことにしています。
プレゼンの時はお互いに熱量があり、軽い興奮状態になっていることもしばしば見受けられます。
「その場の雰囲気でこのままお願いしちゃった。
けどよく考えるとここは変更したいな。でも言いづらいし・・・」
ということが起こりえると思います。折角の家づくりなのでお互いに言いやすいように、一度冷静になる時間を取り、平時に提案した住宅と向き合い、ご夫婦の場合はよく話合ってから今後どうしていくかのお返事をいただくのが一番だと考えています。
この時に役に立つのがプレゼンブックです。基本僕がしゃべった内容がそのまま1冊にまとめられているので、常に案に対して正確な情報、冷静な状態で向き合うことができます。
それでも不明な点はご連絡いただければいつでも回答します。
そして運命の1~2週間後のお返事の時期になります。
お返事の内容は大まかに4つに分類されます。
ⅰ:そのままの案で進めたい
ⅱ:原案を少し変更してほしい
ⅲ:全く違う家を提案してほしい
Ⅳ:お断りしたい
ⅰ:そのままの案で進めたい
この場合はすぐに概算見積もりの手配を行います。
ⅱ:原案を少し変更してほしい
変更案をすぐに作成して、打ち合わせもしくはメールにて確認していただきます。
OKがもらえ次第、概算見積もりの手配を行います。
ⅲ:全く違う家を提案してほしい
この場合さらにお時間をいただいて再度設計をやり直しします。
基本的にこの場合は図面とこちらが必要と判断した場合は模型の提出をさせていただいております。
気に入っていただいた段階で概算見積もりの手配を行います。
Ⅳ:お断りしたい
その場合はお預けした図面や模型、プレゼンブックを回収させていただきます。場合によっては僕らの計画を他社に転用しない旨を一筆書いていただくことがあります。ご了承ください。
基本的に「ヒアリング」~「気に入った家のプランができるまで」の作業を無料で行っています。
(2024年7月時点です。変わる際は事前にアナウンスします)
幸い僕らは経験がありませんが、お断りいただく場合、図面や資料を持ち逃げされて他社で建てたということが実際にあったそうです。その場合の打つ手として上記の対策を取らせていただいています。
設計事務所のプランを別の会社で建てたことについてすこーし余談ですが、いい間取りや外観があれば素敵な家になるとお思いの方がいたら、その認識は少し間違っています。確かに間取りや外観などはいい家になるための大切な要素ですが、必要な要素のひとつに過ぎません。僕らは基本設計から実施設計、監理にいたるまで一括で行っています。
【設計】
間取りや内外観はもちろんのこと、使われる素材であったり、構造や構法のことであったり、設備のことであったり、建築基準法に係ることであったり、様々なことを複合的にまとめ上げたものを第三者(工務店やクライアントの皆様)と共有するために図面を作成します。その行為を設計と言います。設計を図面にすることは見積もりの精度を上げるだけでなく、工事の精度も上がります。
【監理】
設計図に基づいて適切に工事がなされているかをチェックする業務です。間違った工事が行われていたら是正を指示しています。また図面には出てこない性能的な部分や意匠的な細かな部分を現場で決定することもあります。
僕らが思ういい家づくりとは、設計から(土地探しから)完成まで一貫して、方向性を共有できる人と一緒に行うことだと思います。
そういった点からもプランだけ渡されて途中から家づくりに参加しても、さらにその方向性の成り立ち、想いを共有することは難しく、チグハグな家づくりになることが多いと思います。その家のベストな状態を知っているのは、皆さまの要望を聞き、様々な条件の中で一つの家に落とし込んだ設計士であると思っています。
長々と余談で何を言いたかったかというと、
「ヒアリングしてプレゼンして設計始めたら、僕、最後まで頑張ります!
信じてください、一緒にいい家づくりしましょう!押忍!!」
ってことです。
③概算見積〈ク/鳥〉
基本的には懇意にしている工務店1社に概算見積もりをお願いしています。
(工事前最終見積もりも特命をおススメしておりますが、ご希望であれば相見積もりも可能です)
もちろん皆さまからの指定工務店でも構いません。
概算見積もりを取り、予算と照らし合わせて変更を行い確認していただきます。
計画、見積もり等ご納得いただけたら実施設計の準備を行います。
④基本設計終了/設計契約〈ク/鳥〉
実施設計に入る段取りができたら契約を行います。
設計事務所との家づくりの場合は僕らとの「設計契約」と工務店との「工事契約」があり、今回は「設計契約」のことを指します。
ここから改めて家づくりのパートナーとして家づくりのお手伝いをさせていただきます。
⑤実施設計編へつづく
ここまでがプレゼン/設計契約編になります。
僕らの強みとしましては、プレゼンの内容に力を入れているため、その甲斐もあってかプレゼン案を気に入っていただくことが多く、多くの方が[ⅰそのままの案で進めたい]か、[ⅱ原案を少し変更してほしい]の2択になることが多いことです。気に入っていただける家を提案できたことはもちろんのこと、基本設計での打ち合わせ回数も削減でき、皆様の負担も減るのではないかと思います。
次回は実施設計編となります。実施設計ではどういったことを決めていくのかお話できればなと思っています。
border design architects は愛知 名古屋 岐阜 三重 など東海エリアを中心に木造住宅の新築、戸建て・マンションリノベーション、店舗や家具などのデザインを行っています。
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